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| シンハラ語私記 8回 花はどこへ行った@ シンハラ語と日本語の係り結び |
No-60s8(77) 2007-01-25
-赤色の文字はカプタフォントでお読みください-
シンハラ語と日本語の係り結び
ピート・シーガーの「花はどこへ行った」、原題はWhere have all the flowers
gone? である。私はPPMでこの歌に馴染んだが、キングストン・トリオやマリーネ・デードリッヒでこの歌に惹かれた人も多いだろう。
どこかでアイリーン・グッドナイトのメロディが聞こえるようなWhere have
all the flowers gone?の歌いだしの部分、日本語では「花はどこへ行った?」と訳されている。これを「どこへ行った 野に咲く花は」と訳す人もいて、訳し方一つで歌詞のインパクトが大きく変わる。
花はどこへ行った
Whereなどの疑問詞で始まる疑問文はWh疑問文と呼ばれる。5W1Hのあの5W、「だれwho、どこwhere、なにwhat、なぜwhy、いつwhen」をまとめてWh疑問詞と呼び、Wh疑問詞が文の頭に置かれる疑問文をWh疑問文というのだ。Where
have all the flowers gone?はこのWh疑問文にあたる。
この疑問文を平常文に換えるとWh疑問詞は文の最後に置かれる。
@ All the flowers have gone (somewhere=where).
すべての花はS 行ってしまったV どこかADV
すべての花はどこかへ行ってしまった。
元の疑問文を並べてみよう。
A Where have all the flowers gone?
どこWh すべての花はS 行ってしまったV
どこへすべての花は行ってしまったか。(→どこへ花は行ったの?)
@Aから分かることは、Wh疑問文を作るためには文末から文頭へWh疑問詞が動かなければならないということだ。このWh疑問詞の動きをWh-movement(Wh移動)と呼んでいる。
Wh移動は英語以外の言語でも起こる。Wh移動が起こる言語はWh- movement の言語と呼ばれ、Wh移動の起こらない言語はWh-in-situの言語と呼ばれる。この分類は言語の系統分けとは違って、統語論(単語の並び方とその法則)で較べたときの分類だ。
英語は完璧なWh移動言語だが日本語はそうじゃない。上の和訳のように「どこへ花は行ったの?」と訳せるし、この歌の日本語タイトルのように「花はどこへ行った」とも訳せる。ちょっとアクロバットだが「花が行ってしまったのはどこ?」というように語順を入れ替えて強調表現もできる。日本語の統語論では、「どこ」というWh疑問詞は動詞より前に置かれるのなら、どこへでも「移動」できるからだ。
こうしたことは英語では起こらない。
だが、シンハラ語ではできる。日本語と同じようにWh疑問詞を文の中で自由に動かせる。
なぜだろう?
そのことを考えながら、更にその先に話を進めるのが今回のテーマだ。
ただ、その前に次のことを確認しておこう。つまり、シンハラ語はそもそも日本語のように文が自由に組み立てられる、ということだ。英語とはまったく別の統語規則が文を支配している。言い方を変えれば、英語流の統語論は日本語にもシンハラ語にも通用しない。なぜだろうか。
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