![]() |
かしゃぐら通信 Khasya Report シンハラ語の話し方フォロー講座 | |
| 「かしゃぐら通信」Khasya Report シンハラ語/シンハラ語の話し方・読者の方へ/ニュースの探検隊/カレーライス/かしゃぐら通信索引/著作・発行 かしゃぐら通信 | ||
| ● |
| シンハラ語の動詞は活用する、を学ぶ D他動詞・自動詞・使役の語形 2006-12-23 |
| Cへ戻る -赤色の文字はカプタフォントkaputadotcom2004でお読みください- Eへ進む ※ ※シンハラ語の話し方フォロー講座Index ※シンハラ語質問箱へ |
他動詞・自動詞・使役の語形
かしゃぐら通信2005-12-09 / 2007-Dec-24
KhasyaReport
●発行・著者/かしゃぐら通信 /定価 1500円 ●→詳細 |
|||||||||
|
アマゾンAmazonで 「かしゃぐら通信」の本を探す (南船北馬舎刊) |
『動詞』12章の「エ形をとる動詞語根」にシンハラ動詞の自動詞と他動詞についてこんな記述があります。
|
…他動詞「アサイ」(聞く)は自動詞で「アセイ」(聞こえる)となるが、これは語幹の「アサ」の「サsa」が「セse」に変化した結果だ。つまりシンハラ動詞には語根の末尾にくる母音がeに変わると自動詞になるという類型がある… |
例えばそれは、
| asy] | asa-yi | 聞く | 他動詞 |
| a#@sy] | aese-yi | 聞こえる | 自動詞 |
という語幹の変化を表しています。
これはとても日本語っぽい動詞変化の規則です。日本語の「聞く」(他動詞)と「聞こえる」(自動詞)を較べてみると似たようなことが起こっています。
| 聞く | ki-ku | 他動詞 |
| 聞こえ・る | ki-ko-e-ru | 自動詞 |
この語幹変化を起こす動詞を集めると「思う−思える」「泣く−泣ける」「見る−見える」のようにe(e‐ru)の語形を持つ自動詞が日本語にいくつもあることに気がつきます。これは「聞く−聞こゆ」の「ゆ」のように自発の「ゆyu」が現代語で「えye」に転じたのでしょうか、とにかく日本語にもシンハラ語と同じような自動詞の生成法があったのでしょう。シンハラ語ほどに他動詞と自動詞の区別は規則的ではないのですが、こうした分け方は日本語の動詞にも適用できます。
無意志動詞文という特別な言い回し
他動詞と自動詞についてもう少し話を続けます。
シンハラ文では述語が自動詞の場合に、主語がタの助詞(ニパータ)を伴うという特別な言い回しがあります。
| am|m` g}wyk\ asy] | ammaa giithayak asayi | 母は歌を聞く | 他動詞文 |
| am|m`t g}wyk\ a@sy] | ammaa-ta giithayak aseyi | 母には歌が聞こえる | 無意志動詞文 |
| m}t is~sr s#@r~ ek\kr @gn a`p[ @p`d] @kl\lt @mc|cr ik\mnt @m| wrmtm @l`k\ v[N` q? |
| miita issara saree ekkara gena aapu kella-ta mecchara ikmanata 以前 一緒に連れてきた 子が(子にあっては) こんなに 早く mee tharamatama lok vunaa da? こんなにまで 大きく なった のか? 原文/「この前連れていた子がもうこんなになったのかい」 |
「シンハラ語質問箱」No27「伊豆の踊り子」
「子が」という主語なら「ケッラ」でいい。でも「こんなになった」という言い回しに合わせて「子がケッラ」が「子にあってはケッラタ」に変わる。シンハラ語では「〜なる」という無為自然の言い回しをするとき、主語は「〜には」という、日本語から見れば古風な言い回しをする。子供が大きく成長した、のではなく、子供にあっては大きくなった、と表現する。
これを与格主語の表現といって、シンハラ語にも現れる特別な言い回しなのだそうです。けど、日本語だって「天皇にあらせられましては」とか、「殿には加賀へ行かれた」とか、与格主語の言い回しは尊敬を表しながら使われていました。与格主語は特別な言い回しだというのですが、シンハラ語にあって日本語にもあったのだから、別段特別って分けじゃない。ついでだけど英語だってMeを主語にしていた時代があったというから、やっぱり特別じゃない。何が特別かって言えば、そんな古きよき時代の言い回しを今も後生大事にしているってところがいかにも特別なシンハラ語ってことなんです。
与格を主語に置く文は「意志を持たない/意志がない※注」とディサーナーヤカは言いますp.107。与格主語は無意志動詞文を作ってしまうのです。シンハラ語の与格主語は。実は、ここが大切なポイント。
シンハラ語には無意志動詞と呼ばれる特別な動詞の一群がある。無意志動詞と呼ばれるやつらです。この無意志動詞がシンハラ語の、シンハラ語としてのもっとも特徴的な表現を作って、この言い回しだけは日本語にも見つけにくい。状況を認知するパターンがグゥっと哲学的になってしまうのです。
哲学が苦手な日本列島人は与格主語文までは話せても、無意志動詞文は使いこなせなかったみたいです。でも、意志を持たない文なのだから、日本人にもも特異な分野の言い回しかも。
無意志動詞文のことは別項にまとめましたので、そちらをご覧ください。
※注 「意志がない」---無意志動詞に関しては「皿を割れたとなぜ言える」をご参照ください。
| 使役動詞 |
使役の「ワ」
日本語では「食うku-u」を使役の態にすれば「食わすku-wa-su」となる。語幹の「食ku」に「わwa」を添えてから活用語尾につなげる。
この使役の態の作り方はシンハラ語でも同じ。
「食うku-u」は「カナワka-nawaa」と言う。「カナワ」の語幹は「カka」で、これに使役を表す接辞の「ワwa」を添えてから活用語尾「ナワnawaa」につなげる。「カワナワka-wa-nawaa」という語形ができるけど、これが「食わす/食わせる」の使役の意味を持つ。
『熱帯語の記憶、スリランカ』では日本語とシンハラ語に共通する使役動詞の作り方を’ワをもって尊しとなす’とおちょくって覚えてもらったけど、この「ワ」でつくる使役形のことがディサーナーヤカの『動詞』ではいくつかの章で紹介されています。
『動詞』の50章は「使役動詞」。本文はこう始まります。
| smk`l}n s]Ahl@yh] qk~nt l#@bn ekm 'kYy` wq\E]w pq`N[v' @m| 'v' wq\E]w pq`N[vy]. |
| 現代シンハラ語に見受けられるただ一つの’動詞派生語の最少単位’はこの’ワ’という派生語である。 |
訳文がみっともないけど、忠実に訳した積もり。’動詞派生の最少単位’とは動詞語幹と活用語の間に入る一音節語の’ワ’のこと。この’ワ’が使役を作ると言うから、これって日本語の使役の作り方と同じじゃない。
ディサーナーヤカが指摘するシンハラ語の使役動詞は以下のとおりで、
| kYy` pYk^w]y | wq\Q]wy | k]Yy` pYw&y | pY@y`~j& kYy` pqy |
| pL | v | y] | pLvy] |
| k | v | y] | kvy] |
| n` | v | y] | n`vy] |
| gn~ | v | y] | gn~vy] |
この表の単語活用部分をカタカナで表記すると次のようになる。
| 動詞語幹 | 派生語 | 動詞活用語 | 作られる使役動詞 |
| パラ pala |
ワ wa |
イ yi |
パラワイ 裂かせる pala-wa-yi / sak-a-seru |
| カ ka |
ワ wa |
イ yi |
カワイ 食わせる/食わす ka-wa-yi / ku-wa-seru |
| ナー naa |
ワ wa |
イ yi |
ナーワイ 沐浴させる naa-wa-yi / mokuyoku-s-a-seru |
| ガン gan |
ワ wa |
イ yi |
ガンワイ 取らせる/取らす gan-wa-yi / tor-a-seru |
ここでは動詞活用語尾が「イyi」で表されていますが、これは「ナワ」と同じ意味の活用語尾です。口語ではナワの代わりに用いられます。
でも、すべてのシンハラ動詞が「ワ」形の使役を作るわけではないとディサーナーヤカは注釈しています。日本語でも「わ」の原則が崩れる。ワwaではなくW音の抜けたA音であることが多いのです。
これまでの動詞活用にかかわる総てをシンハラ文法でワラナギーマと言います。次回はこのワラナギーマについてお話します。
| Cへ戻る -赤色の文字はカプタフォントでお読みください- Eへ進む シンハラ語の話し方フォロー講座Index |
かしゃぐら通信