『かしゃぐら通信』 Khasya Rreport     KhasyaはPinusKhasyaのことで松の木の一種。熱帯原産で3葉、幹と枝はすらりとした樹形を作る。松はシンハラ語でデーワ・ダーラ、神の枝を意味する。Khasya-gulaでStage of Godsのこと。スリランカの神は古代、山の岩穴に住んだ。  かしゃぐら通信 Khasya Report シンハラ語の話し方フォロー講座
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シンハラ語の動詞は活用する、を学ぶ                D他動詞・自動詞・使役の語形 2006-12-23
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シンハラ語質問箱

他動詞・自動詞・使役の語形
かしゃぐら通信2005-12-09 / 2007-Dec-24

  KhasyaReport
  『かしゃぐら通信』 Khasya Rreport --- KhasyaはPinusKhasyaのことで松の木のこと。熱帯原産で3葉、幹と枝はすらりとした樹形を作る。松はシンハラ語でデーワ・ダーラ、神の枝を意味する。 
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 『動詞』12章の「エ形をとる動詞語根」にシンハラ動詞の自動詞と他動詞についてこんな記述があります。

…他動詞「アサイ」(聞く)は自動詞で「アセイ」(聞こえる)となるが、これは語幹の「アサ」の「サsa」が「セse」に変化した結果だ。つまりシンハラ動詞には語根の末尾にくる母音がeに変わると自動詞になるという類型がある…                          

出典 p34 「動詞」JB・ディサーナーヤカ/「派生語根」

例えばそれは、

asy] asa-yi 聞く 他動詞
a#@sy] aese-yi 聞こえる 自動詞

という語幹の変化を表しています。
 これはとても日本語っぽい動詞変化の規則です。日本語の「聞く」(他動詞)と「聞こえる」(自動詞)を較べてみると似たようなことが起こっています。 

聞く ki-ku 他動詞
聞こえ・る ki-ko-e-ru 自動詞

 この語幹変化を起こす動詞を集めると「思う−思える」「泣く−泣ける」「見る−見える」のようにe(e‐ru)の語形を持つ自動詞が日本語にいくつもあることに気がつきます。これは「聞く−聞こゆ」の「ゆ」のように自発の「ゆyu」が現代語で「えye」に転じたのでしょうか、とにかく日本語にもシンハラ語と同じような自動詞の生成法があったのでしょう。シンハラ語ほどに他動詞と自動詞の区別は規則的ではないのですが、こうした分け方は日本語の動詞にも適用できます。


無意志動詞文という特別な言い回し

 他動詞と自動詞についてもう少し話を続けます。
 シンハラ文では述語が自動詞の場合に、主語がタの助詞(ニパータ)を伴うという特別な言い回しがあります。

am|m` g}wyk\ asy] ammaa giithayak asayi 母は歌を聞く 他動詞文
am|m`t g}wyk\ a@sy] ammaa-ta giithayak aseyi 母には歌が聞こえる 無意志動詞文
出典 p.32 「エ形の動詞語根」bsk mh]m 11/ kY]y` pqy/ @j~. b}. q]s`n`yk / @g`d@g~ @p`w~ m#Q[r 2001

 これは無意志動詞文と呼ばれるもので、主語が与格(タのニパータを伴う)のとき、主語の意志とは関係がなく行為や現象が起こることをあらわします。
 以前、「シンハラ語質問箱」で主語がタ格を取るというシンハラ語の与格主語に触れたことがありますが
「シンハラ語質問箱」No27、そのときのタ格もこの例と同じです。与格主語はシンハラ語の特徴的な言い回しです。
m}t is~sr s#@r~ ek\kr @gn a`p[ @p`d] @kl\lt @mc|cr ik\mnt @m| wrmtm @l`k\ v[N` q?
miita issara saree ekkara gena aapu  kella-ta   mecchara ikmanata
  以前          一緒に連れてきた 子が(子にあっては)  こんなに   早く 
mee tharamatama lok vunaa  da?
  こんなにまで    大きく なった のか?

原文/「この前連れていた子がもうこんなになったのかい」

「シンハラ語質問箱」No27「伊豆の踊り子」

 「子が」という主語なら「ケッラ」でいい。でも「こんなになった」という言い回しに合わせて「子がケッラ」が「子にあってはケッラ」に変わる。シンハラ語では「〜なる」という無為自然の言い回しをするとき、主語は「〜には」という、日本語から見れば古風な言い回しをする。子供が大きく成長した、のではなく、子供にあっては大きくなった、と表現する。
 これを与格主語の表現といって、シンハラ語にも現れる特別な言い回しなのだそうです。けど、日本語だって「天皇にあらせられましては」とか、「殿には加賀へ行かれた」とか、与格主語の言い回しは尊敬を表しながら使われていました。与格主語は特別な言い回しだというのですが、シンハラ語にあって日本語にもあったのだから、別段特別って分けじゃない。ついでだけど英語だってMeを主語にしていた時代があったというから、やっぱり特別じゃない。何が特別かって言えば、そんな古きよき時代の言い回しを今も後生大事にしているってところがいかにも特別なシンハラ語ってことなんです。

 与格を主語に置く文は「意志を持たない/意志がない※注」とディサーナーヤカは言います
p.107。与格主語は無意志動詞文を作ってしまうのです。シンハラ語の与格主語は。実は、ここが大切なポイント。
 シンハラ語には無意志動詞と呼ばれる特別な動詞の一群がある。無意志動詞と呼ばれるやつらです。この無意志動詞がシンハラ語の、シンハラ語としてのもっとも特徴的な表現を作って、この言い回しだけは日本語にも見つけにくい。状況を認知するパターンがグゥっと哲学的になってしまうのです。
 哲学が苦手な日本列島人は与格主語文までは話せても、無意志動詞文は使いこなせなかったみたいです。でも、意志を持たない文なのだから、日本人にもも特異な分野の言い回しかも。
 無意志動詞文のことは別項にまとめましたので、そちらをご覧ください。

※注 「意志がない」---無意志動詞に関しては「皿を割れたとなぜ言える」をご参照ください。

 使役動詞


使役の「ワ」
 

 日本語では「食うku-u」を使役の態にすれば「食わすku-wa-su」となる。語幹の「食ku」に「わwa」を添えてから活用語尾につなげる。
 この使役の態の作り方はシンハラ語でも同じ。
 「食うku-u」は「カナワka-nawaa」と言う。「カナワ」の語幹は「カka」で、これに使役を表す接辞の「ワwa」を添えてから活用語尾「ナワnawaa」につなげる。「カワナワka-wa-nawaa」という語形ができるけど、これが「食わす/食わせる」の使役の意味を持つ。
 『熱帯語の記憶、スリランカ』では日本語とシンハラ語に共通する使役動詞の作り方を’ワをもって尊しとなす’とおちょくって覚えてもらったけど、この「ワ」でつくる使役形のことがディサーナーヤカの『動詞』ではいくつかの章で紹介されています。
 『動詞』の50章は「使役動詞」。本文はこう始まります。

smk`l}n s]Ahl@yh] qk~nt l#@bn ekm 'kYy` wq\E]w pq`N[v' @m| 'v' wq\E]w pq`N[vy].
 現代シンハラ語に見受けられるただ一つの’動詞派生語の最少単位’はこの’ワ’という派生語である。
出典 p.110 「50章 使役動詞」 同上

 訳文がみっともないけど、忠実に訳した積もり。’動詞派生の最少単位’とは動詞語幹と活用語の間に入る一音節語の’ワ’のこと。この’ワ’が使役を作ると言うから、これって日本語の使役の作り方と同じじゃない。
 ディサーナーヤカが指摘するシンハラ語の使役動詞は以下のとおりで、 

kYy` pYk^w]y wq\Q]wy k]Yy` pYw&y pY@y`~j& kYy` pqy
pL v y] pLvy]
k v y] kvy]
n` v y] n`vy]
gn~ v y] gn~vy]
出典/同上

 この表の単語活用部分をカタカナで表記すると次のようになる。

動詞語幹 派生語 動詞活用語 作られる使役動詞
パラ
pala

wa

yi
パラワイ     裂かせる
pala-wa-yi / sak-a-seru

ka

wa

yi
カワイ 食わせる/食わす
ka-wa-yi / ku-wa-seru
ナー
naa

wa

yi
ナーワイ    沐浴させる
naa-wa-yi / mokuyoku-s-a-seru
ガン
gan

wa

yi
ガンワイ 取らせる/取らす
gan-wa-yi / tor-a-seru

 ここでは動詞活用語尾が「イyi」で表されていますが、これは「ナワ」と同じ意味の活用語尾です。口語ではナワの代わりに用いられます。
 でも、すべてのシンハラ動詞が「ワ」形の使役を作るわけではないとディサーナーヤカは注釈しています。日本語でも「わ」の原則が崩れる。ワwaではなくW音の抜けたA音であることが多いのです。

 これまでの動詞活用にかかわる総てをシンハラ文法でワラナギーマと言います。次回はこのワラナギーマについてお話します。

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