火を自在に操れるようになったのは、いつ頃からだろう。
摩擦熱による発火法は約3万5千年前の縄文・弥生時代に発見されたらしい。
今では、ボタン1つで簡単にしかも高効率の炎が自由自在。
河原に行くと必ず回りの木を集めライターで火を付ける。
ほんの小さな炎を次第に大きくしていく楽しみ。何か良いんだなこれが。
手を翳し暖を取りながら、チロチロと揺らぐ炎を眺めたり・・
以前に2度ほど火起こしに挑戦したが、失敗に終わっていた。
ヒキリウスから黒い粉末は出てくるのだが、火種が出来るまでには至らなかった。
何度もやる内に汗だくになり、体はクタクタになってしまった。
効率ばかりを追求しない、何とも非効率的な作業に新鮮味を感じたものだ。
■キリモミ式挑戦−その1(2002.02)
今回は、ヒキリ棒とヒキリ板だけのシンプルなキリモミ式に挑戦することにする。
ヒキリ棒に使うため、近所のシノタケを切って数本持ち帰る。
なるべく真っ直ぐな、12mmφ程度のものを選んだ。約1ヶ月間乾燥させる。
さてどうなることやら。
節の位置を確認しながら約50cmの長さに竹を切る。
皮が付いていると滑ってもみ難いため、カッターナイフで皮を剥いでいく。
こうすれば乾燥も助長されるかな・・・

アジサイの茎は火を起こし易いらしいが適当な長さで真っ直ぐな物はあまり無い。
だから短く切った茎を、ヒキリ棒の先端に差込めるよう竹の先端を加工する。
まず竹の先端を補強するため、たこ糸1m/mを十数回巻きつける。
アジサイの茎を四角に削った物が入るように、竹の内側を彫刻刀で正方形に削る。
必ず対角同士を削っていく、こうすれば正方形に成り易い。
アジサイの10mmφぐらいの茎を切って先端を四角形に削りヒキリ棒にさす。
先端のヒキリ板にあたる側はカッターナイフで角を落としておく。
ヒキリ板は、12mmtの杉板にした。ヒキリウスの加工をする。
鋸でV字型に切りこみを入れ、彫刻刀(丸刀)で切れ込みに掛かる様に浅くウスを掘り込む。
これで道具が揃ったので、早速火起こしに挑戦。
ヒキリ棒をヒキリ板のウスに当て、最初はゆっくりと両手でヒキリ棒をきりもみする。
熱が逃げてしまうと時間が掛かるので、摩擦面になるべく隙間を作らない様にきりもむ。
次第に焦げ臭い匂いがしてきた。体力を温存しながらやっていたつもりが最後のダッシュまでもたない。
V字型の切りこみから黒い粉が出始めた頃、体力の限界に。ウゥ〜

2度目のチャレンジ。
ジョギングの帰りに見つけた雨ざらしの杉板を拾ってくる。
新しい木材より古いものが発火し易いらしい。
早速、切れ込みを入れヒキリウスを加工。
最初はゆっくりとキリモミ、次第に黒い粉が切れ込みにこぼれ始める。
焦げ臭い匂いがたちこめ、煙が上がり始めヒキリ棒の周りに纏わりつく。
もうそろそろ、最後のダッシュをかけようと頻りにきりもむ。
が・・・、体力は限界に近かった。ウゥ〜 もう少しだったような。

■ヒモギリ式挑戦−その1(2002.09)
前回の失敗以降も何度か挑戦したが、やはり最後の追い込みで蔕ってしまう。
極力シンプルな道具を使うキリモミ式に拘って来たがここで一服。
火種が出来てそれを大きくして最後は炎にするイメージを掴みたい。
今回はヒモギリ式に挑戦する。
前回までの道具に加えて、ハンドピースとひも。
ハンドピースとひもの取っ手は、海岸に行き適当な大きさの流木を拾い水洗い後に乾燥させた物。
約1mの長さのひもの両端に取っ手を付けておく。
ハンドピースはセンターにヒキリ棒が入る穴を開けておく。
中秋の名月と言えばススキ、火種を大きくし炎にするためススキの穂を採ってきた。
これで準備完了。

一人はヒキリ板を足で抑え、ハンドピースでヒキリ棒上端を固定
ひもをヒキリ棒に3回ほど巻きつけもう一人がキリモミする。
10秒もキリモミすると煙が出始め、さらに続けるとヒキリウスの切り込みから黒い粉が出始める。
あたりはもうもうと煙が立ち込め黒い粉が盛り上がる。
手を休めて黒い粉に息を吹きかけると火種(写真左上の黒い塊)が赤らんだ。成功の予感。

ススキの穂の中に火種を落とし込み、さらに息を吹きかけていく。
煙が目にしみて涙ボロボロ、鼻水タラタラ。
それにもメゲズ息を吹きかけゆっくりと火種を大きくしていく。
新聞紙を千切ったものを置き暫くするとボッと炎が赤々と上がった。
早速その炎で煙草に火を付けたが散々に煙を浴びた後なのであまりウマイ一服にはならなかった。
暫し炎のチロチロを眺めていた。

